円満離婚とは?円満離婚を成功させるための方法・ポイント

離婚

円満離婚とは、夫婦が離婚の際に条件について揉めることなく、双方が納得して離婚することをいいます。

この記事では、以下についてわかりやすく解説します。
・円満離婚のメリット
・円満離婚のデメリット
・円満離婚を成功させる方法・手順

1、円満離婚とは

円満離婚とは、協議によって離婚条件について合意し、短期間で終局的な解決を図る方法です。

厚生労働省が公表した「令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、2023年の日本における離婚件数は約18万3,808組で、婚姻する夫婦3組に対し、約1組が離婚していることとなります。

離婚といっても様々ですが、当事者双方にとって最も望ましい解決は、円満離婚であることは間違いありません。

引用:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」

2、円満離婚のメリット

(1)短期間での離婚が可能

離婚は、協議によって合意できなければ、調停・訴訟と、裁判所の手続きを経ることになります。その場合、裁判所のスケジュールに合わせ、1か月に1回程度の調停・訴訟を続けることになり、時間がかかります。

これに対し、円満離婚の場合は、双方で密に連絡を取ることで、調停・訴訟の手続きを続ける場合に比べ、短期間での離婚が可能になります。

(2)低コストでの離婚が可能

調停・訴訟の場合、手続き毎に、裁判所に納める手数料、弁護士に依頼する場合の弁護士費用が発生します。

これに対し、円満離婚の場合は、上記手続きを経ない分、低コストでの離婚が可能になります。

(3)夫婦関係の維持と子どもへの影響軽減

調停・訴訟など離婚手続きが長期化する場合、当事者間で、感情的な対立が深まることが多くあります。その際、当事者にもっとも近い場所でこれらのやり取りを見ている子どもは、精神的に大きな負担を感じることになります。

これに対し、円満離婚の場合は、子どもにとっての夫婦関係を維持できる信頼関係を残すことが可能となり、子どもの精神的負担を軽減することにつながります。

3、円満離婚のデメリット

(1)離婚条件を決め忘れる可能性がある

円満離婚の場合、当事者のみで話し合いができるとして、第三者である弁護士に依頼せずに、当事者間のみで条件を決めるケースがあります。

もっとも、この場合、双方は、利害が対立する関係にあるため、自身の利益が害される事項については条件として話し合うことを提案せず、他方がそれに気づかないままに終わり、離婚協議後に条件を決め損ねたり、決めた内容が不十分であったことに気付いたりすることがあるため、注意が必要です。

4、円満離婚を成功させる方法・手順

円満離婚を成功させる方法・手順

(1)離婚後の生活の目処をつけておく

まずは、離婚後、どこで生活するのか、今の仕事は続けるのか、子どもは自分が育てていくのかなど、離婚後の生活をできるだけ具体的にイメージし、用意することで、今決めなくてはならない離婚条件の協議に集中することができます。

①お金の目途

生活費はいくら必要でどのように手に入れるのかなど、離婚後の生活の目途を付けた後には、そのためのお金の目途を決めておくことが重要です。

婚姻費用や養育費は、当然に相手方から支払われるものとも限りません。そのため、これらのお金が入ってこない場合の生活に備え、ご自身の財産などを確認しておきましょう。

具体的には、離婚後、転居するのであれば、まずは引っ越し代、転居先の賃料、敷金、礼金などを想定しておく必要があります。

②住まいの目処

それぞれの新たな生活のため、別居することとし、新居を構える必要もでてきます。どこに住むのか、誰と暮らすのか(親と同居するのか)など住まいの目途を立てる必要もあります。

(2)離婚を切り出す

離婚協議とは、双方にとって精神的負担が大きいものですが、離婚に向けた大きな一歩です。気持ちや考えの整理ができた後に、相手に離婚を切り出すとともに、そこに至る気持ちや考えを伝えましょう。

①タイミングを見て冷静にはっきりと伝える

離婚協議の申し入れは、多くの場合、相手にとって突然のことです。そのため、他方当事者が話し合いに向き合える状態の中で、感情的にならずにはっきりとご自身の意思を伝える必要があります。

②配偶者の意思も尊重する

配偶者にとっても、離婚は大きな決断です。配偶者と協議する中で、ともに解決を目指すのであれば、時に譲り合うことで、お互いが納得できる解決を導くことができ、結果的に円満離婚が叶うことになります。

(3)離婚に関する条件を決める

①財産分与

財産分与は、夫婦がともに形成してきた財産を分け合うことです。自宅、預貯金、自動車、保険など、婚姻後に形成した財産があるか、どう分けるかを決めましょう。

②年金分割

年金分割は、離婚時に夫婦の一方が婚姻期間中に納付した年金の記録(標準報酬)を、もう一方の配偶者に分割する制度です。これにより、離婚後も年金額が配偶者間で公平に分けられる仕組みとなっていますので、忘れずに行いましょう。

③慰謝料

もし、離婚に至る経緯に、相手による不貞や暴言・暴力などがあれば、それによって多大な精神的苦痛を感じているかと思います。相手に対し、かかる精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。

④親権(子どもがいる場合)

子どもがいる場合、親権をいずれが持つのか決めておく必要があります(この点が決められなければ、他の条件全て合意できていても離婚ができません)。

⑤養育費(子どもがいる場合)

養育費とは、子どもが親の離婚後も健全に成長し、必要な生活水準を保つために必要不可欠なものです。そのため、かかる金額をいくらと定めるか、いつまで支払うか、金額変更についての余地があるのかなどを決めておく必要があります。

(4)離婚に関する合意内容は公正証書にしておく

離婚後のトラブルを回避するためにも、離婚に関する合意内容は公正証書という公式な文書で内容を確認しておくことが重要です。また、将来、仮に、将来債務者となった一方当事者が、債権者となった他方当事者に対し、債務を履行しなかった場合にも、これを使ってスムーズに強制執行することができます。

離婚の相談は賢誠総合法律事務所へ

円満離婚を目指す際こそ、最善の方法、条件で速やかに合意できるよう、専門家である弁護士の力を借りることが必要です。

賢誠総合法律事務所では、多数の離婚事件を扱っていますので、多くの経験や専門性の高い知識を駆使して、相談者様のご希望に沿うようお手伝いさせていただきます。

まとめ

法律相談は、できるだけ早く相談することで、多くの選択肢から、最善の策を選ぶことが可能になります。

そのため、離婚について検討されているのであれば、できるだけ早く専門性の高い信頼できる弁護士への相談をおすすめします。

弁護士: 川上葵