無縁墓地の処理(墓じまい)について②

前回の,「無縁墓地の処理(墓じまいについて)①」では,無縁墓地を処理(墓じまい)する際の,行政上の手続をご説明いたしましたが,行政上の手続ができればそれでOKというわけではなく,そもそも,大前提として,その墓地の使用権(多くの場合,「永代使用権」)を保有している人との民事上の権利関係を整理する必要があります。

 

つまり,その墓地について,「使用権」を有している人がいる場合は,いくら「行政上の手続」をしっかり行っても,墓を撤去したりしたら違法になるというとです。

 

高松高等裁判所平成26年2月27日判決 平成25年(ネ)第317号の案件は,まさにそのような案件でして,お寺の側は,あるお墓を「無縁墓地」だと判断して,行政上の手続を実施すれば墓を撤去しても良いと考えて,行政上の手続はしっかりと実施して墓を撤去したわけですが,その後,お墓の所有者から訴えられて,結局,金370万円もの損害賠償を支払わなければならないという判決を受けてしまいました。

 

したがって,「無縁墓地」は,行政手続を取りさえすれば撤去してよいというのは誤解であって,まずは,それが本当に無縁墓地なのかをしっかりと調査確認したうえで,その墓地についての権利者と思われる人に対して,使用権の根拠となる契約の解除通知を送るなどして,民事上の権利を消してから,行政上の手続をするのがベストということになります。

 

次回は,この,「無縁墓地かどうかの調査」と,「使用権の解除」について説明させていただきたいと思っております。

 

 

一覧に戻る