財産分与時の不動産価値の算定方法
財産分与
婚姻期間中に夫婦が取得した不動産は、その名義のいかんに関わらず、離婚時に財産分与の対象になります。不動産を維持する場合であっても、売却する場合であっても、不動産の評価をする必要があります。では、どのように不動産の評価はなされるのでしょうか。
1.財産分与の基準時
まず、住宅をいつの時点を基準に評価すべきかという問題について、基本的には裁判時(口頭弁論終結時または審理終結時)を基準としてなされます(最判昭和34年2月19日判時180号36頁)。
2.財産の評価方法
住宅の評価方法については、法律上の定めはなく、客観的に合理的と認められる方法であれば、良いと考えられています。
裁判や調停では以下のような評価方法を参照し、判断や合意がなされることが多いようです。
・不動産鑑定士による不動産鑑定評価
専門家である不動産鑑定士による時価の評価方法です。客観性・公平性があり、信用性の高い評価方法であり、評価方法に激しい争いのある事例では、本評価方法が用いられます。
・公示地価
国道交通省が毎年3月に公表する、同年1月1日時点の全国の標準値の土地評価額です。
・路線価
路線に面した宅地1平方メートルあたりの価格で、公示地価をもとに設定されています。
・固定資産税評価額
固定資産税の基準となる評価額です。公示地価を参照し、各市区町村が3年に1度設定します。公示地価の70%ほどの額であり、一般的に低額になるとされています。
上記のほか、調停では、不動産会社による査定を基準に評価額の合意がなされることも多いようです。不動産鑑定士による不動産鑑定評価は、ある程度客観性・公平性があり、信用性の高い評価方法ですが、数十万円ほどの鑑定費用が必要なことがデメリットです。
3.まとめ
財産分与にお悩みの方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士: 田代梨沙子