財産分与請求権と除斥期間

財産分与

1 はじめに

財産分与について、離婚の際に決めることなく、離婚を先行させることもあるでしょう。

本コラムでは、財産分与の期間制限についてご説明いたします。

2 財産分与の請求権は除斥期間が決められている

財産分与請求権について定めた民法768条は次の通り規定しています。

第768条 

1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

このように、第2項において、財産分与請求権について「離婚時から2年を経過した場合には請求できない」という除斥期間を定めています。

この「除斥期間」とは、時効と異なり、その期間が経過すると権利が当然に消滅するものであり、時効のように更新といった事由が存在しません。

そのため、離婚をされた際には、2年以内に財産分与を請求する必要があります。

 

3 例外

ただし、財産分与請求の相手方が、他方配偶者を騙すような形で財産を隠しているなど、そのこと自体が不法行為に該当しうる場合は、不法行為に基づく損害賠償請求権として3年の時効の範囲内で請求ができるケースもあります。

 

4 まとめ

財産分与請求権の除斥期間は2年と短いことをご説明いたしました。

悩まれている方は、ぜひ早期に専門家にご相談ください。

 

弁護士: 伊藤由香