財産分与を行うときの寄与割合

財産分与

1 はじめに

財産分与は、原則的に、夫婦の共有財産が2分の1で分けられます。
両性の本質的平等の観点から、共有財産に対する寄与割合を各2分の1と考えるためです。

別のコラムでは、寄与割合が修正された事案を紹介いたしました。

「財産分与 2分の1ルールの例外」大阪高判平成26年3月13日判タ1411号177頁

「夫婦の一方が家事育児を全面的に行った上就労していた場合に財産分与の寄与割合を6:4とした審判」東京家審平成6年5月31日家月47巻5号52頁

 

今回のコラムでは、どのような事情があれば、寄与割合が修正される可能性があるのかをご紹介いたします。

2 寄与割合を修正する場合の考慮要素

財産分与は、平等の観点から、寄与割合が原則的に2分の1とされ、反対に、形式的に、2分の1とすることが公平とはいえない場合に、寄与割合を修正することになります。

しかし、単に夫婦の一方が有資格者であることや高収入であることだけで寄与割合が修正されるというものではありません。

この点、寄与割合が修正される場合とは、婚姻関係破綻時(別居時等の基準時)に存在した財産の規模・金額、それが形成された経緯、財産の性質、当事者の資格・技術等の種類、当事者間の協力扶助の程度、破綻に至った経緯、離婚後の各当事者の収入・生活等に関する見通しなどを総合考慮して、2分の1ルールを適用することが実態に合わないと判断される時には、寄与割合が修正されると考えられています。

有資格者であることは確かに一要素となります。医師等一般的に高収入になりがちな資格であれば、比較的主張立証がしやすく、裁判所も認めやすいですが、それ以外の資格・技術の場合には、丁寧な主張立証が必要になり、そのほかの事情も主張立証する必要があります。

3 終わりに

原則的には、財産分与は夫婦の共有財産を2分の1とすることは多いですが、様々な事情によっては、例外的に寄与割合が修正される場合があります。

ご自身のケースで、寄与割合が修正される可能性があるのかご不安な方は、専門家に是非ご相談ください。

弁護士: 森下 裕